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ECMOとは?【ECMO・PCPSについて簡単に解説】

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最近テレビでよく聞く、ECMOって何?

昨今のニュースにおいて一般の方でも聞いたことのある単語、『ECMO』

一見するとかなり複雑に思えますが一つずつ学んでいくと理解できてきます。

今回は様々な文献や成書を参考にさせていただきながら、初学者にもできるだけわかりやすくまとめていきたいと思います。

医学生や研修医のみなさんはもちろん、一般の方にも是非読んでいただきたいです。

1.ECMOとは?

●ExtraCorporeal Membrane Oxygenationの略(体外式膜型人工肺)

●体外式生命維持装置の1つ

●治療ではなく、基礎疾患の病態を修復するものではない

まず、ECMOとはそもそも、ExtraCorporeal Membrane Oxygenationの略なのです。

日本語訳すると、体外式膜型人工肺となります。

結局何をする装置かというと、大静脈から血液を抜きとり(脱血)、人工心肺で酸素化した後に、体内の大動脈あるいは大静脈に戻す(送血)装置のことです。

著しい循環不全あるいは、呼吸不全を呈する患者に対して導入されることが多い体外式生命維持装置といえます。

今後も集中治療分野で重要な役割を担うものではありますが、エビデンスの蓄積がなく施行数や施行施設数ばかりが先行している実情もあります。

https://dancing-doctor.com/2020/08/19/ecmo-handbook/

2.ECMOの種類について

ECMOは大きく分けると、VA-ECMOとVV-ECMOの二種類があります。

よくウイルス性肺炎の治療で近年よく聞くECMOとは、VV-ECMOにあたります。それぞれについて簡単にまとめたスライドを紹介します。

静脈(V)から抜き取り、動脈(A)に戻すのがVA-ECMO = PCPS(経皮的補助人工装置)と呼ばれます。

成人の場合、右心房から静脈血を脱血し、大腿動脈に送血することが多いです。すなわち、心臓の役割どちらも担っており循環呼吸の両方を補助するデバイスといえます。

一方で、静脈(V)から抜き取り、静脈(V)に戻すのをVV-ECMO = Respiratory ECMOと呼び、こちらは右心房から静脈血を脱血し、大腿静脈に送血することが多いです。

静脈血を酸素化するの役割を担っており、呼吸を補助するデバイスです。ウイルス性肺炎の場合には、ECMOで呼吸をサポートしている間に、肺の仕事量を必要最低限にして休ませることで自身の肺が回復するのを待ちます。

対処療法が基本となるウイルス性肺炎では理にかなった治療法であるといえますね!

これだけ魅力的なデバイスである一方で、致命的な合併症も多いのがECMO管理の難しいところ。

合併症の管理については次回の記事を参考にしてみてください。

3.両者の比較

最後に両者を比較した表を紹介します。

今回の記事を見て興味を持った方は是非それぞれの項目について調べてみてください。

また、この表には表記されていない両者の大きな違いとしては、

●VVECMOでは、リサーキユレーションが起きる

●VAECMOは心臓の代行
前負荷↓ 後負荷↑ 左室仕事量↑ 冠血流↓

の2点です。

これらについても今後の記事で説明していきたいと思いますので興味があれば是非読んでみてください。

4.引用文献

●INTENSIVIST Vol.5 No.2 2013 (特集:ECMO) 2013/4/17 讃井將満
●ECMO実践ハンドブック〜世界標準の成人ECMO管理 2020/2/10 Alain Vuylsteke
●SAVE-J ガイドライン
●ELSO Guideline ver1.3
●東京医科大学 八王子医療センター 救急救命センター HP

 

 

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