今回は薬物中毒の1つである、カフェイン中毒についてまとめました。
私たちの生活の身の回りでもカフェインが含まれた飲料は多く、含有量を意識せず摂取している方も多いと思います。
一方でカフェイン中毒は重症の場合致死的な不整脈を引き起こし場合によっては心停止する可能性もあるので注意が必要です。
1.ポイント
●若年者の繰り返す嘔吐で想起
●重症の場合は致死率が比較的高く、痙攣重責発作、致死性不整脈、循環不全、心停止などがある
●薬物大量内服の病歴がある際には、常にカフェイン中毒の可能性を想起し致死的な不整脈を見逃さない
●血中濃度(80μg/ml 以上)、臨床上重症を疑う場合は血液灌流法(血液透析法)を施行する
2.治療のフローチャート
2.疫学
●若年の方が多く、近年増加傾向
●OTC薬、コーラやカフェインなど比較的入手しやすく大量内服される頻度の高い薬物のひとつ
●世界の90%の人が毎日コーヒーを消費している
3.症状
●症状は以下のように様々であり、テオフィリン中毒の症状に似ている。
テオフィリンと同様にキサンチン誘導体に属する。標的臓器への力価は異なるが、多くの薬理作用は共通している。
・吐き気嘔吐
・振戦
・けいれん発作
・頻脈
●重症の場合は致死率が比較的高く、痙攣重責発作、致死性不整脈、循環不全、心停止などがある
4.原因
●経口摂取後20-60分で血中濃度ピークに
●薬理効果まとめ
・アデノシン受容体拮抗
・カテコラミン合成・遊離作用
・PGE阻害
●薬物動態
分布容積(L/kg):0.5
蛋白結合率(%):35
●半減期
成人:3-7時間
小児:3-14時間
加療内服時:約16時間
●副腎髄質からのカテコラミン放出を促し、カテコラミンの代謝を阻害。血中カテコラミン濃度↑
●cAMPを分解・不活性化させるPGEを阻害してcAMPを増加させる
5.除外診断・注意すべき合併症
●致死的不整脈、心停止を避ける
6.問診・診察のポイント
●錠剤であればどれくらい飲んだかしっかり聴取
●カフェインの常用的に摂取していないかをチェックする。エナジードリンクなどに注意。
●ウーロン茶多飲によるカフェイン中毒の報告もある
7.検査
●カフェイン血中濃度は重症度の評価に有用
●テオフィリンが血中から検出されればカフェイン中毒の診断に役立つ(重症度はあてにならない)
8.具体的治療
●重症例では全身管理がとにかく大事。頻脈に対してはβBを静注
●薬物効果なく致死的なバイタルになればPCPS考慮
●吸収の阻害
・メトクロプラミド0.4-1.0mg/kg 静注
・胃洗浄や活性炭を考慮
●排出の促進
・血中濃度(80μg/ml 以上)、臨床上重症を疑う場合は血液灌流法(血液透析法)を施行
9.引用、参考文献
1)臨床中毒学 相馬一亥 著
2)中毒学会調査 2017
3)Antaa Slide カフェイン中毒 坂本壮 作
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