医学ノート

【脳外科】神経原性肺水腫(NPE)について【くも膜下出血(SAH)で酸素化が悪い時に想起したい】


こんにちは!うき田うき夫(@houseloveryuki)です。
今回は、僕が

神経原性肺水腫(NPE)について学んだことを、
くも膜下出血(SAH)を原因とするNPEを中心に

書いていきたいと思います。

今回もスライドベースの記事となっており、サクッと読めますので是非ご一読ください!

前回の症例クイズの記事を読んでいない方はまずこちらをチェック!👇

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1.救急外来におけるSAH

SAHの診断って難しいですよね。

救急外来で対応しているときも、頭痛を主訴に来院している人をみると、

SAHの鑑別で悩むことが何度もありました。

頭痛が主訴で来院してくれるならまだ想定しやすいですが、吐き気や片麻痺でも来院することがあるため、より難解!

今回の症例をきっかけに、SAHのことについて自分が改めて勉強した事をまとめました!

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2.神経原性肺水腫とは?

では、今回のメインテーマであるNPEについて学んでいきたいと思います。

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神経原性肺水腫(neurogenic pulmonary edema:NPE)とは、

重症頭部外傷や脳内出血などの中枢神経系疾患に伴って発症する急性肺水腫のことです。

NPEの重症度や発症時間は、原因となる疾患によって様々であると言われています。

SAHに伴うNPEの疫学についてですが、
NPEはSAHの約43%にみられるとの報告があります。

これはかなり高いと感じますが、今回のような呼吸不全をきたしていない軽度の肺水腫もすべて含めての数値のようです。

また死亡に至った重症SAH78例において、31例は生前の検査などによってNPEと診断されていて、71例は死後の病理解剖でNPEと診断されています。

普段の感覚と比較すると、かなり高い頻度でSAHにNPEは合併しているんですね。

3.NPEの機序

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ドンっと機序の表を張ってみました。

いろいろと細かく書いてありますが、大きな流れとしては

1中枢神経系の障害から、交感神経系の著明な亢進
2血管内静水圧上昇
3血管透過性の亢進

が病態および機序の中心となっています。

また2.3絵を引き起こす原因として、血中カテコールアミンの上昇や、血行動態異常をきたすメカニズムとして体抵抗血管の収縮の関与もあるとされています。

NPEに特徴的な血行動態以外のメカニズムとして、ニューロペプチドの関与もあると考えられています。

4.NPEの治療・予後について

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最後にNPEの治療や予後についてです。

治療は Supportive Care が原則となっています。必要に応じて人工呼吸管理や、ICP(頭蓋内圧)管理が必要です。
なので今回の症例ではICPを経時的に測定して経過を見る必要があるかもしれません。

そして原因となった中枢神経系疾患に対する治療が重要であると考えられています。

また、αブロッカーが有効であるとの報告もありますが動物実験レベルの話であり、

まだガイドライン等には組み込まれていないのが現状です。

予後についてですが、多くの肺水腫そのものは2~3日で改善することが多く、
生命予後は肺水腫の原因となった中枢神経系異常の予後に左右されると言われています。

イメージよりも予後は悪くなさそうです。

以上がNPEの学んだ内容となります。

想定していないとなかなか鑑別に上がらないため、この機会に皆さんも是非復習しておいてください◎

また、今回のようにSAHに伴う酸素化不良やバイタルの乱れの原因としては、
たこつぼ型心筋症も考慮することが大切だとも感じました(エコー上、今回は否定的と判断されています)。

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