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(2025年2月25日発売 著:三谷雄己 /監修:髙場章宏 / イラスト:角野ふち)
「歩いてやってくる患者さん」ほど、実は危険が潜んでいる
外科系当直を乗り切るための実践的ガイドが完成しました!
目次
1. この本が誕生した背景
外科系当直— それは忙しい外科系専攻医や若手外科医が避けては通れない当直業務です。
しかし、
「外因性に見える症状の背後に潜む緊急性の高い疾患を見逃してしまうかもしれない…」
「非専門領域の処置を当直中に任されて、対応が不安……」
といった悩みを抱えている方も少なくありません。
そんな不安を解消したい。
救急医としての経験を経て現在は整形外科医という外科系の医師として外科系当直に携わる著者が、まさにそのリアルな課題をまとめ上げ、本書を完成させました。
2. 本書の特徴|本書で学べること
◆1.見逃してはならない「レッドフラッグ疾患」を徹底解説
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「歩いてやってくる患者さん」のなかには、重症に見えないだけで実はレッドフラッグが潜むケースが少なくありません。
本書では、見た目に惑わされずに重要な初期対応を行うための思考回路を丁寧に解説しています。
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◆2.“非専門科の視点” でまとめた「マイナーエマージェンシー」対応
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肘内障や鼻出血など、比較的安全に実施できる処置を
「ここまでは自分でできる!」
「ここから先は専門医へ!」
といった裁量の境界がイメージしやすいように紹介。
当直時に必要となる緊急性の高いマイナーエマージェンシー疾患への対応を網羅しているのが、本書の大きな強みです。
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◆3.思考回路を確立し、診療時間を短縮するノウハウ
「どの時点で専門科に相談すべきか?」
「何を優先すべきか?」
こうした疑問を繰り返し学ぶことで、診断の型を自分のものにし、当直業務の効率化や時間短縮につなげられます。
◆4.全編フルカラー、100点超えのイラスト・症例画像で理解しやすい
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看護師でありイラストレーターとしても活躍する角野ふち氏による豊富なイラスト、症例画像を多数掲載。
視覚的にもわかりやすい構成で、頭にスッと入ってくる解説が詰まっています。
3. こんな方におすすめ
- 外科系に進む研修医・外科系専攻医や若手外科医: 当直業務にあたって、よくあるトラブルとその回避法を学びたい方
- 当直経験が浅い先生方: 救急外来で「何をどう見逃さず、どのタイミングで専門科にコンサルトするべきか」を押さえたい方
- マイナーエマージェンシーも自信を持って対応したい医師: 肘内障や鼻出血の処置など、専門外の軽処置への苦手意識を克服したい方
- 指導医の先生方: 当直で若手にアドバイスする際の指導ツールとして参考にしたい方
4. 著者のメッセージ
「歩いて来院する患者さんほど油断してはいけない」
私は現在、救急科での研修を終えた後、整形外科医として働いています。
外科系当直の現場に立つと、その守備範囲の広さと見逃せない疾患の多さを改めて実感しました。歩いてこられた患者さんは軽症に見えがちで、実際に外因性要因ばかりに目が行くかもしれません。しかし実はそこに重篤な内因性疾患が隠れていることもあります。
さらに、時には専門外の小処置を求められる場面もあり、非常に悩ましいものです。本書ではそんな「外科系当直に潜むレッドフラッグ」を丁寧に拾い上げ、非専門科の視点で徹底的に解説しています。
「ここまでは自分で対応し、ここからはコンサルト」という境界線もわかりやすくイメージできるように配慮しました。幅広い外科系疾患やマイナーエマージェンシーについて網羅的に学べる類書は数多くありますが、これらの分野の書籍は、各診療科の先生方が分担で執筆されているパターンが多く、非専門科の視点から乖離してしまっているものも少なくないと感じました。
そこで本書では、かつて救急医として幅広い領域を経験し、現在は外科系医師として外科系当直に従事する私だからこそ気づいた、
「非専門科ならではの悩みや疑問点」
を終始一貫した視点で,“単著”としてまとめ上げました。
5. 目次紹介
- 第1章 はじめに
- はじめに
- 本書における外科系当直のセッティング
- 第2章 各診療科をすぐに呼ぶべきレッドフラッグを示す疾患
- [脳神経外科]重症頭部外傷
- [耳鼻咽喉科]鼻出血(後方出血)/ killer sore throat …etc
- [眼科]急性緑内障発作 / 網膜中心動脈閉塞症 …etc
- [整形外科]上腕骨顆上骨折 / コンパートメント症候群 …etc
- [皮膚科]壊死性軟部組織感染症 / 重症熱傷
- [泌尿器科]精巣捻転 / 持続勃起症 …etc
- [歯科]歯の外傷(完全脱臼)
- 第3章 外科系当直に紛れ込んでくる内科的疾患
- 急性動脈閉塞症
- 閉鎖孔ヘルニア
- 一過性意識消失
- 第4章 ここまでならできる! マスターしたい非専門科もできる処置
- [眼科]眼瞼の反転・開瞼器の使い方 …etc
- [耳鼻咽喉科]鼻出血(前方)の止血 / 鼻腔異物の摘出
- [整形外科]肘内障の整復 / 肩関節脱臼整復 / シーネ固定
- [皮膚科]熱傷の処置
- [泌尿器科]間欠的導尿・尿道カテーテル留置
- 補足:破傷風の予防
6. まとめ
外科系疾患を対応する当直現場で即使える知識とスキルが詰まった一冊です。
ぜひ安心して当直に臨める“お守り”としてお手元にどうぞ。
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