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📚 目次(クリックで該当箇所へジャンプ)
【導入・5月のテーマ】
【呼吸の評価の復習】
【人工呼吸の適応】
- 4:43 – 適応①:気道緊急(水遁の術のイメージ)
- 5:40 – 適応②:著しい酸素化低下・換気不全・フレイルチェスト
- 6:31 – 適応③:呼吸仕事量の増加
- 7:28 – 適応④:ショック・心停止・意識障害・鎮静が必要な場合
【まとめ】
0:005月のテーマ:呼吸と人工呼吸器
Qラボ2026年5月のテーマは、呼吸です。1ヶ月かけて、呼吸の評価から介入までを一緒に深めていきます。
ABCDアプローチの中でも、B(Breathing)の評価については、これまでの院内急変や敗血症のセミナーでも触れてきました。なので今月は、呼吸の異常を認知した後、どう介入するかのところを中心に学んでいきたいと思っています。
💡 5月のテーマ「呼吸」
介入手段として外せないのが人工呼吸。第1回はその出発点として、「人工呼吸はどんな時に必要なのか」という適応の話から始めていきます。
1:005月のゴール:設定する前に「なぜ必要か」を確認する
5月のゴールはこちらです。
🎯 5月のゴール
人工呼吸器が必要なタイミングを判断し、基本の設定を理解して、自分で人工呼吸器を触ってみる
その上で、もう一歩先の「呼吸器と同調しない時にどう対応するか」というところまで踏み込めたらと思っています。
💡 設定する前に確認したいこと
人工呼吸器を勉強しようとすると、どうしてもグラフィック波形や圧の管理に目が行きがちですよね。でもその前に、まず確認したいのは「なぜ人工呼吸器を装着する必要があるのか」という点です。端的に言うと、適応を確認すること。これが管理の出発点になります。
1:58呼吸の評価3つの軸:酸素化・換気・呼吸仕事量
呼吸の評価は、「見て、聞いて、感じて」進めましょう、と過去のセミナーでもお伝えしてきました。評価項目はたくさんありますが、結局のところ3つの軸に集約されます。
📊 呼吸の評価3つの軸
| 評価軸 | 評価方法 |
|---|---|
| 酸素化 | SpO₂、チアノーゼなどの身体所見、PaO₂(動脈血酸素分圧) |
| 換気 | 呼吸パターン、呼気時のwheezeなどの聴診所見、PaCO₂(動脈血二酸化炭素分圧) |
| 呼吸仕事量 | 胸鎖乳突筋などの呼吸補助筋の使用、腹筋を使った大きな呼吸運動 → 身体診察で見抜く |
ポイントは、酸素化と換気は数値化しやすいのに対して、呼吸仕事量は身体診察で見抜かないといけないことです。
⚠️ 呼吸仕事量は数値化されにくい
血液ガスでPaO₂やPaCO₂は数値で出てきますが、「呼吸仕事量は10です」みたいな表現で報告されることってないですよね。だからこそ、ベッドサイドで胸鎖乳突筋の使い方や腹部の呼吸運動を自分の目で見て評価することが大切なんです。
3:49呼吸仕事量と呼吸筋疲労:放っておくと換気不全に
なぜ呼吸仕事量を見抜くことが大切なのか。それは、呼吸筋疲労につながるからです。
🫁 呼吸筋疲労の流れ
- 呼吸仕事量>呼吸筋力の状態が続く(=エネルギーを大量に使う呼吸を続けている)
- 呼吸補助筋・腹直筋・肋間筋などが疲労
- 換気が維持できなくなる
- 最初は換気障害がなかった患者さんでも、結果的に呼吸不全に
✅ だからこそ大切なポイント
- 呼吸仕事量が高いかどうかを見積もる
- 高いと感じたら、サポートのために人工呼吸を検討する
4:43適応①:気道緊急(水遁の術のイメージ)
ここから人工呼吸の適応を一つずつ整理していきます。気管挿管の適応とオーバーラップするところも多いですが、適応の理解はとても大切です。
💡 気道緊急=水遁の術のイメージ
気管挿管後の患者さんは、細いチューブを通して呼吸をしている状態。忍者が水中でストロー1本で息をしているのと似ていますよね。
ストローが太いか細いかで、息のしやすさは大違い。気管チューブは細いストローみたいなものなので、陽圧換気でしっかりサポートしてあげる必要があります。
5:40適応②:著しい酸素化低下・換気不全・フレイルチェスト
📊 酸素化・換気に関連する適応
| 適応 | 考え方 |
|---|---|
| 著しい酸素化低下 | SpO₂が著明に低下。NPPVやハイフローネーザルカニューラを使っても保てない場合は人工呼吸の適応 |
| 換気不全 | どれだけ酸素を投与しても、陽圧をかけないと換気量が担保できない状態 |
| フレイルチェスト | 多発肋骨骨折で1本の肋骨が2-3か所で骨折し、フレイルセグメントができてしまった状態。陽圧をかけることで呼吸が安定する |
🚨 フレイルチェストのおさらい
フレイルセグメントは、息を吸ったり吐いたりするときの陰圧で胸壁がベコベコと凹む奇異性運動を起こします。これが呼吸を不安定にする原因。陽圧換気で内側から胸壁を支えてあげるイメージですね。
6:31適応③:呼吸仕事量の増加
ここがイメージしにくい方が多いところですが、とても大切な適応です。
⚠️ サチュレーションだけで判断しない
例えばSpO₂が100%、ルームエアで98%だったとしても、呼吸がすごくしんどそうであれば、それをサポートするために人工呼吸の適応を考える選択肢があります。
「サチュレーションが下がっていないから人工呼吸は不要」は間違い。しんどそうな呼吸をしているときは、常に人工呼吸の適応を考える視点を持っておきたいですね。
✅ なぜ呼吸仕事量での適応が大切なのか
呼吸筋疲労が進めば、最終的に換気不全になってしまうから。「結果が出る前に介入する」という発想が、呼吸管理ではとても重要なんです。
7:28適応④:ショック・心停止・意識障害・鎮静が必要な場合
📊 C・Dの異常に伴う適応
| 病態 | 人工呼吸が必要な理由 |
|---|---|
| ショック | 酸素供給を最大化したい / 呼吸仕事量を減らして全身の酸素消費を抑えたい |
| 心停止・蘇生後 | 自発呼吸が消失または不安定。確実な換気と酸素化が必要 |
| 重篤な意識障害 | 自発呼吸の停止や徐呼吸の可能性。気道保護も含めて検討 |
| 痙攣重積など、深い鎮静が必要 | 呼吸中枢が抑制されるレベルまで鎮静を深めるため、人工呼吸が必要になる |
Cの異常やDの異常があるときも、人工呼吸の適応になりうるという視点を持っておくと、初動で迷いにくくなります。
8:22人工呼吸器の役割と「諸刃の剣」
ここまで適応を整理してきましたが、人工呼吸器の役割をシンプルにまとめると次の3つになります。
📋 人工呼吸器の3つの役割
- 呼吸仕事量を肩代わりする
- 酸素化を維持する
- 換気不全を改善する
呼吸の評価で見てきた3つの軸(酸素化・換気・呼吸仕事量)に、それぞれ介入できるのが人工呼吸器の良さですね。
⚠️ ただし、人工呼吸は諸刃の剣
適切な管理ができている時は、患者さんの呼吸はしっかりサポートされます。一方で、不適切な設定のままだと…
- 患者さんに不快感を与える
- 場合によっては肺自体に障害を起こす可能性も
良かれと思って人工呼吸を始めた結果、肺を傷つけてしまっては本末転倒ですよね。だからこそ、適応を踏まえたうえで、適切な設定を理解しておくことが大切になります。
9:20まとめ:5月は呼吸を一緒に深めましょう
✨ 今日のポイント
- 呼吸の評価は3つの軸で
- 酸素化・換気・呼吸仕事量。呼吸仕事量だけは身体診察で見抜く
- 呼吸仕事量を放置すると、呼吸筋疲労 → 換気不全に
- 「結果が出る前に介入する」発想が大切
- 人工呼吸の適応はざっくり4カテゴリー
- 気道緊急 / 酸素化・換気不全(フレイルチェスト含む) / 呼吸仕事量の増加 / ショック・心停止・意識障害・深い鎮静
- SpO₂だけで判断しない
- サチュレーションが保たれていても、しんどそうな呼吸なら適応を考える
- 人工呼吸は諸刃の剣
- 適切な設定ができてはじめて効果が出る。だから5月は設定もしっかり学ぼう
🎯 5月のゴール(再掲)
人工呼吸器が必要なタイミングを判断し、基本の設定を理解して、自分で人工呼吸器を触ってみる
💡 吹き出し|あつし
「人工呼吸器の勉強って、どうしてもグラフィック波形や圧の話から入りがち。でも、その前にまず『なぜこの患者さんに人工呼吸器が必要なのか』を言語化できることがスタートラインなんだ。適応がはっきりすれば、設定の意図もブレない。5月はここから一歩ずつ深めていこう。」
どうですか?あなたの感想を聞かせてください。
人工呼吸の適応って、教科書では「酸素化が悪い時」「換気不全の時」くらいでサラッと書かれていることが多いですよね。でも、現場で本当に大事なのは「呼吸仕事量が高すぎる時」を見抜く視点だと、僕は思っています。
5月はここからさらに、酸素投与デバイス・人工呼吸器の設定・グラフィック波形の読み方・同調しないときの対応へと踏み込んでいきます。一緒にステップアップしていきましょう。
わからない点や「こんな時どうする?」という質問があれば、
ぜひQラボのチャットやマシュマロで聞いてくださいね。





