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📚 目次(クリックで該当箇所へジャンプ)
【導入・復習】
【気道確保の基本】
【用手的気道確保】
【エアウェイデバイス】
【まとめ】
0:004月のテーマ:気道確保と気管挿管
Qラボ2026年4月は、気道確保と気管挿管をテーマに1ヶ月間学んでいきます。
救急診療においてA(Airway)は、最初に評価し介入しなければならないポイントですよね。ここを深掘りできるような1ヶ月にしていきたいと思います。
💡 4月のゴール
気道の評価から気道確保の手技まで、Aの異常に対して自信を持って初動できる力を身につけること。低侵襲な用手的気道確保から、エアウェイデバイスの使い分けまで、段階的にマスターしていきましょう。
0:52ABCDアプローチの復習:なぜAが最優先なのか
まずはプライマリーサーベイ、ABCDアプローチの復習です。
全身に酸素を届けるためには、需要と供給のバランスを保つことが大切でしたよね。そのために、ABCの順番で評価と治療介入を進めていきます。
📋 ABCDアプローチのアクション
| 評価 | 異常があった場合のアクション |
|---|---|
| A(Airway) | 気道確保(今回のテーマ!) |
| B(Breathing) | 人工呼吸の検討 |
| C(Circulation) | ショックの原因検索と治療介入 |
| D(Disability) | ABCの安定化を図った上で、頭部CTなどを急ぐ |
Aは酸素を取り込むための一番最初の工程です。ここでつまずいてしまうと、患者さんを救命できなくなってしまう。だからこそ、Aの評価と介入を真っ先に押さえることがポイントになるんですよね。
📖 12月の復習もおすすめ
気道の評価と異常の見つけ方については、12月の院内急変セミナーで詳しく扱いました。解剖学的にどのように気道が異常を起こすのかを理解するベースになるので、まだ見ていない方はぜひ復習してみてくださいね。
2:18気道確保のフローチャート:低侵襲から順番に
Aの異常があったら気道確保をする。じゃあ実際にどういうアクションをとるのか。ここをフローチャートで整理してみましょう。
🎯 気道確保の大原則
低侵襲のものから順番に試す。
いきなり気管挿管はしません。ただし、重症度だけでなく病態に応じた使い分けが必要です。
📊 病態による使い分けのポイント
| 病態・状況 | 注意点 |
|---|---|
| 頸髄損傷の疑い | 頸部後屈は避ける(神経損傷のリスク)→ 下顎挙上のみで対応 |
| 頭蓋底骨折の懸念 | 経鼻エアウェイは禁忌 → 経口エアウェイを選択 |
| 意識が清明な患者さん | 経口エアウェイは嘔吐反射を誘発する → 経鼻エアウェイの方が適している |
症例に応じて適切な流れで気道確保を試す。このフローチャートが頭に入っているだけで、初動がかなり変わってくると思います。
3:14トリプルエアウェイマニューバー(実技動画あり)
低侵襲な気道確保の代表が、用手的気道確保です。まずはトリプルエアウェイマニューバーをマスターしましょう。
🫁 トリプルエアウェイマニューバーの3ステップ
| ステップ | 手技 | ポイント |
|---|---|---|
| ① | 頭部後屈 | 気道開通に非常に有効。ただし頸髄損傷疑いでは避ける |
| ② | 顎先挙上 | 頭部後屈とセットで行う |
| ③ | 開口 | 口腔内の異物確認・吸引も忘れずに |
⚠️ 頸髄損傷を疑う場合
頭部後屈は行わず、下顎挙上のみで気道を開通させます。小指を意識して下顎を持ち上げるのがコツです。頸部を動かすことで神経損傷をきたすリスクがあるため、この使い分けはとても大切ですね。
実技の流れ
✅ 用手的気道確保の手順
- 患者さんの気道閉塞を疑う呼吸音・呼吸様式を確認
- 開口させて口腔内を確認 → 吐物や血液があればまず吸引
- 吸引後、閉塞音が消えたか確認
- 頭部後屈+顎先挙上(頸髄損傷疑いなら下顎挙上のみ)
- 開口を維持して気道を開通させる
この3つをセットで行うのがトリプルエアウェイマニューバーです。気道確保の基本中の基本なので、ぜひマスターしてくださいね。
5:27経鼻エアウェイ(実技動画あり)
用手的気道確保の次にマスターしてもらいたいのが、経鼻エアウェイ(NPA)です。
📊 経鼻エアウェイの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 軟口蓋や舌根などの上気道閉塞を解除する |
| 適応 | 上気道閉塞のある患者さん。意識がある場合でも使用可能(大きなメリット) |
| 禁忌 | 頭蓋底骨折を疑う場合(頭蓋内への迷入リスク) |
| サイジング | 鼻腔から下顎角(もしくは耳朶)までの長さを目安にする |
実技の流れ
✅ 経鼻エアウェイ挿入の手順
- 患者さんに合ったサイズを選択(鼻腔〜下顎角/耳朶の長さ)
- エアウェイにしっかりと潤滑ゼリーを塗布
- 垂直を意識しながらゆっくり挿入
- 挿入後、胸郭の上がりや呼吸様式を見て閉塞が解除されたか評価
💊 安全ピンによる固定について
エアウェイの先端は広がっているので、奥に迷入するリスクは基本的には少ないですが、念のため安全ピンで固定することもあります。ただし、患者さんの鼻に刺さってしまう危険がある場合は無理に行わなくて大丈夫です。
経鼻エアウェイは経口エアウェイと比べて嘔吐反射が起きにくいのが大きなメリットです。使用する場面も多いデバイスなので、ぜひ手技を押さえておきましょう。
8:11経口エアウェイ(実技動画あり)
続いて、経口エアウェイ(OPA)です。
📊 経口エアウェイの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 上気道閉塞の解除 |
| メリット | 経鼻エアウェイよりも出血の合併症が起きにくい |
| 禁忌 | 意識が清明な患者さん(嘔吐反射を誘発し、誤嚥のリスクとなる) |
| サイジング | 口角から下顎角までの長さを目安にする |
実技の流れ
✅ 経口エアウェイ挿入の手順
- 口角から下顎角の長さでサイジング
- 口腔の解剖を意識しながら垂直に挿入
- 指もしくは舌圧子で舌を横に避けながら進める(舌根を押し込まないよう注意)
- 挿入後、気道開通を確認
🔄 180度回転させる挿入法
患者さんによっては、経口エアウェイを180度くるっと回転させながら挿入する方法もあります。舌をうまく避けながら気道を開通させることができますが、軟口蓋の損傷や出血のリスクもあるので、しっかり注意しながら実施しましょう。
9:56まとめ:Aは酸素を取り込む最上流
✨ 今日のポイント
- Aはプライマリーサーベイの最上流
- 酸素を取り込む一番最初の工程。真っ先に評価と介入が必要
- 気道の異常は数分で心停止に至ることもある
- 超緊急のこともあるので、急いで対応する
- 気道確保は低侵襲から順番に
- 用手的気道確保(トリプルエアウェイマニューバー)→ 経鼻エアウェイ → 経口エアウェイ → …
- 病態に応じた使い分けが大切
- 頸髄損傷 → 頭部後屈は避ける
- 頭蓋底骨折 → 経鼻エアウェイは禁忌
- 意識清明 → 経口エアウェイは嘔吐反射のリスク
🎯 今日のゴール
Aの異常に対する初動を、自信を持って実践できるようになる
💡
「気道確保って聞くと、気管挿管をイメージしがちだけど、まずは用手的気道確保から。頭部後屈・顎先挙上・開口、この3つだけで気道が開通することも多いんだ。基本に忠実に、低侵襲なものから順番に試していこう。4月はここからさらに深掘りしていくよ。」
どうですか?あなたの感想を聞かせてください。
気道確保って、シンプルなようでいて、病態ごとの使い分けを考えると意外と奥が深いんですよね。頸髄損傷だったら頭部後屈は避ける、頭蓋底骨折だったら経鼻エアウェイは使えない。こういう判断が瞬時にできるかどうかが、現場での初動に直結します。
僕自身、研修医の頃に用手的気道確保の重要性を甘く見ていた時期がありました。「とりあえず挿管すればいいでしょ」くらいに思っていたんですよね。でも実際の現場では、用手的気道確保だけで状態が安定することも多い。基本ってやっぱり大事なんだなと。
4月はここからさらに、声門上デバイスや気管挿管へと踏み込んでいきます。
今回の基本を土台にして、一緒にステップアップしていきましょう。
わからない点や「こんな時どうする?」という質問があれば、ぜひQラボのチャットやマシュマロで聞いてくださいね。皆さんの臨床経験が、Qラボメンバー全員の学びをより良いものにしてくれます◎





