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NPPVとHFNC、どっち選ぶ?【呼吸不全へのアプローチ】

「酸素6Lでも苦しそう…NPPVにする?HFNCにする?」

急性呼吸不全の患者さんを前に、どちらを選ぶべきか迷うことありますよね。両方とも挿管を回避するための強力なツールですが、得意分野が違います。

私も最初は「どっちでもいいからSpO2を上げたい!」という感覚で、使い分けが曖昧でした。

この記事では、NPPVとHFNCの使い分けについて解説します(1)。


NPPVとHFNCの違い

まず、両者の基本的な違いを整理しましょう(1,2)。

📋 NPPVとHFNCの比較

NPPV HFNC
デバイス マスク 鼻カニューラ
陽圧 あり(PEEP、PS) 軽度(口を閉じていれば約3-5cmH₂O)
FiO₂ 高濃度可能 高濃度可能
快適性 マスクの圧迫感 それなりに快適
会話・食事 困難 可能

NPPVの強みは陽圧による呼吸仕事量の軽減と肺胞リクルートメント。

HFNCは快適性と高流量による死腔洗い流し効果が特徴です(2)。


NPPVが得意な場面

NPPVはこのような場面で特に有効です(1,3)。

✅ NPPVを選ぶべき状況

  • COPD急性増悪:CO₂貯留に対してPS(圧支持)が有効
  • 心原性肺水腫:陽圧で前負荷・後負荷を軽減
  • 免疫不全患者:挿管回避のエビデンスあり
  • 抜管後の呼吸不全:再挿管予防

特にCOPD急性増悪と心原性肺水腫では、NPPVが挿管率と死亡率を改善するという強いエビデンスがあります(3)。

💡 臨床のコツ

COPD急性増悪でpH < 7.35、PaCO₂ > 45mmHgなら、早期にNPPVを導入しましょう(3)。


HFNCが得意な場面

HFNCはこのような場面で選択します(2,4)。

💡 HFNCを選ぶべき状況

  • 低酸素性呼吸不全:肺炎、ARDSなど
  • NPPVが使えない:マスク不耐、顔面外傷
  • 気管支鏡など処置中:酸素化を維持しながら処置
  • 終末期ケア:快適性を重視
  • 軽度〜中等度の呼吸不全:まず試してみる価値あり

FLORALI試験(4)では、低酸素性呼吸不全患者において、HFNCが通常酸素やNPPVと比較して挿管率を低下させたと報告されています(ただしサブグループ解析)。


どちらを先に使う?

実際の臨床では、病態によって使い分けます(1,5)。

📊 病態別の選択

病態 第一選択
COPD急性増悪 NPPV
心原性肺水腫 NPPV
低酸素性呼吸不全(肺炎など) HFNC or NPPV
マスク不耐 HFNC
抜管後 状況により両方

💡 臨床のコツ

どちらを使っても改善しなければ、早めに挿管を検討。

無理に引っ張ると、緊急挿管のリスクが上がります(5)。

P-SILIの観点からも、何分で呼吸状態を再評価するかを常に意識して、ダメそうだと判断したらすぐに気管挿管し人工呼吸管理に移行しましょう。


失敗のサインを見逃さない

NPPVやHFNCで改善しない場合、早めに挿管を検討すべきです(5)。

⚠️ 挿管を検討すべきサイン

  • 1-2時間で改善なし:SpO₂、呼吸数、意識レベル
  • 呼吸筋疲労:呼吸補助筋の使用、奇異性呼吸
  • 意識レベル低下:気道防御反射の低下
  • 循環不安定:ショック状態
  • ROXスコア < 4.88(参考に)(HFNC使用時、12時間以内)

一つの指標で判断するのではなく、総合的に併せた判断が大切です。


まとめ

✅ NPPVとHFNCの使い分けポイント

  1. COPD・心原性肺水腫:NPPVを優先
  2. 低酸素性呼吸不全:HFNCも選択肢
  3. 快適性を重視:HFNCが有利
  4. 失敗サインを見逃さない:早期の挿管判断が重要

引用文献

  1. Rochwerg B, Brochard L, Elliott MW, et al. Official ERS/ATS clinical practice guidelines: noninvasive ventilation for acute respiratory failure. Eur Respir J. 2017;50(2):1602426.
  2. Roca O, Riera J, Torres F, Masclans JR. High-flow oxygen therapy in acute respiratory failure. Respir Care. 2010;55(4):408-413.
  3. Lightowler JV, Wedzicha JA, Elliott MW, Ram FS. Non-invasive positive pressure ventilation to treat respiratory failure resulting from exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease: Cochrane systematic review and meta-analysis. BMJ. 2003;326(7382):185.
  4. Frat JP, Thille AW, Mercat A, et al. High-flow oxygen through nasal cannula in acute hypoxemic respiratory failure. N Engl J Med. 2015;372(23):2185-2196.
  5. Roca O, Caralt B, Messika J, et al. An index combining respiratory rate and oxygenation to predict outcome of nasal high-flow therapy. Am J Respir Crit Care Med. 2019;199(11):1368-1376.

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