胸痛の患者さんが搬送されてくるから、とりあえず検査出しておいて!と言われたけど、どんな検査項目が必要なのだろうか…?
相談したら、「とりあえず胸痛セットのルーチン検査を出しておいて!」と言われた。どうしてこんなにたくさんの検査項目が必要なのかよくわからない…。
救急外来での検査は“ルーチンのセットで出す”というのが研修医のよくある臨床practiceですよね。
こうしたアクションプランは安全性も高く、一見大きな問題がないように感じるかもしれませんが、研修医の思考は停止してしまい医師としての成長の機会は奪われているのかもしれません。
さらに不確実性の高い救急外来では、「◯◯の検査値が高かったら◯◯」という様に1対1対応にはならないことも多いですが、短絡的にそのような対応となってしまうことも多いかと思います。
本来は必要な検査を必要なだけオーダーして、行った検査はきちんと解釈して患者さんのケアに活かすべきです。しかし、ルーチンで意図せず提出された項目は解釈もされず、ただ検査値が表示されているのみとなっていることも散見されます。
そんな風に、救急外来のルーチン検査について日々もやもやとした思いを抱えていたところ、この度著者の薬師寺先生より本書をご贈呈いただきました。
本書を読むことでルーチンを超えて、検査項目を活用できるようになること間違いなしです!
今回、救急外来や一般外来での“検査項目の総論”や“臨床での応用”を学びたいときに読むべき一冊として、自分が自信をもっておすすめするのがこちらです👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
医学生から専攻医・看護師・検査技師
【推定読了期間】
7-8時間程度
です。
2.本書の特徴
本書は、薬師寺 泰匡先生が執筆された、
【本書の特徴】
●ルーチン化された検査、プロトコル化された診療の解釈に注力
●スイスイと読み進められる会話形式
が特徴の一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
●ルーチン検査項目を行う意義から、その結果の解釈まで
●検査結果を臨床診断や方針決定に活かす方法
これらは学生や研修医、救急後期研修医を含め、救急医療に関わる医療従事者にとっては今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
本書の特徴はなんと言っても、“ルーチン検査項目“について、行う意義からその結果の解釈までに焦点を当てているという点です。
「その検査は一体何を見ていて、どんな時に異常値となり、検査結果を実臨床にどのように落とし込んでいくのか」 といった点を徹底解説しており、“まさにルーチンを超えるための一冊”だと感じました。
通読する中で、各検査項目の1つの側面しか知らなかったことがたくさんあり、ルーチン検査項目と呼ばれる各項目を、思考停止の”ルーチン”解釈で終わらせないよう、何度も読み返して勉強させていただきたいと思いました。
加えて、本文はもとより、コラムにも薬師寺先生の想いや経験談が凝縮されていました。
血算はバイタルサインの一種といっても過言ではない…といった一文にハッとさせられたことを覚えています。
各所に散りばめられている秀逸なコラムでニヤニヤしていると、あっという間に読み終わりました。
なにより、この薬師寺先生ご本人や細胞のイラストもご自身で作成されたとのことで非常に驚きました。本当に凄すぎます…!
これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は
本書を「あえて検査の意義から掘り返して、救急でどのように応用していくかに向き合った、救急外来における検査項目の真髄を学ぶことができる1冊である!」と感じました。
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●次にシチュエーション別の検査項目など、臨床現場でのアクションに直結する項目を改めてじっくりと読み込もう!
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
個人的におすすめの使い方をご紹介します。
著者個人の意見としては、まずは一度通読してみることが大切だと感じました。
臨床にどう応用しているか、救急医の思考回路をくみ取ることに注力し、さっと読み進めても大丈夫です。
その後は、各項目を読み込んでいきましょう。
特に外傷、ACS、腹痛、内分泌疾患疑い、貧血、敗血症、中毒など、「実臨床に即して検査をどのように使用していくか」を記載した項は非常に実践的なので、ここは何度も読み込んで、自施設のルーチンと比較してみてください。
そのあとは実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。
何度も振り返りをすることで、検査のオーダーや解釈に自信を持てるようになること間違いなしです!
5.まとめ
【本書のまとめ】
検査の意義から掘り返して、救急でどのように応用していくかに向き合った、救急外来における検査項目の真髄を学ぶことができる1冊である!
まとめると、本書は救急外来における検査について、深く学ぶことができる救急外来診療に関わる医療者には本当におすすめの一冊です。
本書を読むことでルーチンを超えて検査項目を活用できるようになること間違いなしです!
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:救急外来での検査値の読み方
著者:薬師寺 泰匡
出版社:日本医事新聞社
発行年月日:2022/12/25
【ターゲット層】
医学生から専攻医・看護師・検査技師
【推定読了期間】
7-8時間程度
【本書の特徴】
●ルーチン化された検査、プロトコル化された診療の解釈に注力
●スイスイと読み進められる会話形式
【本書で学べること】
●ルーチン検査項目を行う意義から、その結果の解釈まで
●検査結果を臨床診断や方針決定に活かす方法
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●次にシチュエーション別の検査項目など、臨床現場でのアクションに直結する項目を改めてじっくりと読み込もう!
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
【本書のまとめ】
検査の意義から掘り返して、救急でどのように応用していくかに向き合った、救急外来における検査項目の真髄を学ぶことができる1冊である!
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