・ICU入室中に心房細動になってしまった患者さん。
この方は心機能も悪く、何に気を付けて対応すればいいのだろうか…?
・この人工呼吸中の患者さんは、おそらく閉塞性換気障害の病態だ。
気管支拡張薬はどうやって投与すればいいんだっけ…?
・フロセミドを投与しても尿量が得られない。
次に追加する利尿薬は何が適しているのだろう…?
これらは日々ICUで仕事をする中でおそらく一度は皆様感じたことのある疑問点だと思います。
ICU入院管理中の薬剤選択、容量調整はガイドライン通りに行ってもうまくいかないことも時に経験します。
実は、上級医の先生方はエビデンスや添付文書の記載を踏まえたうえで、上手に薬剤の容量を調節されています。
この度、そんな達人のコツを学ぶのに最適な一冊を川上大裕先生よりご贈呈いただきました。
本書を読むことで、様々なシチュエーションの重症患者さんに対して「どの薬を選択し,どれくらいの量で使い,どう調整すればいいのか?」という悩みを解消することができます。
「実臨床の現場でしか学ぶことのできない肌感覚を身に付けたい」時に読むべき一冊として、自分が自信をもっておすすめするのがこちらです👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
ICU研修予定の初期研修医から後期研修医・ベテラン医師
【推定読了期間】
6-7時間程度
です。
2.本書の特徴
本書は、川上 大裕先生が編集、執筆された、
【本書の特徴】
●臨床の現場でしか学ぶことのできない“肌感覚”を言語化していること
●ICUで経験する症候やシチュエーションを網羅的に解説していること
が特徴の一冊です。
本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇
【本書で学べること】
●「シチュエーション別」の「リアル」なICU頻用薬の使い方
●中堅以降の医師が読んでも面白いスペシャリストの経験則
●薬を使いこなすのに必要なエビデンスだけでなく、臨床家の経験やコツ
これらは研修医の先生方にとって、日々ICUに従事する先生方はもちろん、今後どのような診療科に進んでも学んでおくべき大切な事項であると思います。
3.個人的総評
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
本書の特徴はなんと言っても、臨床の現場でしか学ぶことのできない“肌感覚”を言語化していることと言えるでしょう。
例えば、ICU入院管理中の薬剤選択、容量調整はガイドライン通りに行っても、うまくいかないことも多々あります。
特に、集中治療医からフィードバックを受ける機会の少ない若手医師にとっては、難しいと感じるポイントだと思います。
本書を読むことで、その実臨床の現場でしか学ぶことのできない肌感覚を学ぶことができるため、上級医の先生たちが言葉にする「キレの良さ」や「投与のコツ」と言った、“曖昧だけど知りたい感覚”を身に着けることができます。
また、エビデンスがない領域でも、エビデンスがないことの断りを入れた上で“経験的な使用方法”が記載されています。
そのため、明日から使えるような“実臨床で使われている知識”が身につくのではないでしょうか。
(エビデンスに関しては、2022年8月の論文まで入っており比較的新しい情報まで網羅していると言えるでしょう。)
何より、本書の解説は初学者にも理解しやすいようわかりやすく丁寧に書いてくださっているので、途中で挫折してしまうことも少ないと思います。
例えば、
・各薬剤にキャッチコピーがついており、各薬剤の特徴をつかみやすい
・類書と比較すると図解やフローチャートが多く、視認性が高い
という点で、初学者には特におすすめだと感じました。
加えて、「どの薬剤をどのような場面で使用するのか」という適応判断がリアルに書いてあるのも初学者に優しいポイントです。
個人的には、利尿薬と不穏・せん妄の薬剤の使い方がとてもわかりやすく、勉強になりました。
また、「人工呼吸管理下の閉塞性換気障害に対しての、気管支拡張薬の使用方法」については、メーカーによっての違いやポイントまで事細かに記載されており、類書では見たことのないほど具体的で、感動したのを覚えています。
一方で、あくまで個人的な印象ではありますが、
この分野は類書が多いため、いくつかこのトピックの書籍を読んでいると普遍的な内容や解説に既視感を抱いてしまったという点が気になりました。
しかし、どの薬を使用すべきか、薬・希釈に使う生食の量、投与速度など解説が詳しく、初学者の方には本当におすすめです。
この点については少しだけ配慮した上で、一度手にとっていただければと思いました。
まとめると、本書は「ICUローテの初期研修医や後期研修医にとって、ICU診療における薬剤管理を学ぶ入門書として最適である!」と感じました。
4.おすすめの使い方・読み進め方
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!
●目次を参考にさらっと通読して、どこに何が書いてあるかざっくり把握(付箋を貼り、メモをするのも良いでしょう)
●その後は経験した症例の前後で参照して復習!
個人的におすすめの使い方をご紹介します。
著者個人の意見としては、これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読をおすすめします。
ページ数も多くないのでまずは目次を眺めながら一気に通読してみましょう。
この際に、これまでの自分のアクションと変わりうるところをメモしておくことが大切です。
その後、臨床現場で悩むシチュエーションに出会ったらメモを参照しましょう。
何度も繰り返すことで、自分の知識として身につけることができます。
また、余裕があれば類書の解説と比較して差異を探してみるとより理解が深まりますので、本書を軸として類書を研究するのもおすすめです。
5.まとめ
【本書のまとめ】
本書はICU治療を学ぶ初期・後期研修医にとって必須の参考書の一つである!
まとめると、本書はICU治療について、わかりやすく学習ができる初期・後期研修医の先生方には本当におすすめの一冊です。
この一冊を通じて学ぶことで、
様々なシチュエーションで重症患者に「どの薬を選択し,どれくらいの量で使い,どう調整すればいいのか?」という悩みが解決します。
今後の学びや業務をより良いものにしたい方には是非手にとっていただきたい一冊です◎
以下に要点や基本事項をまとめましたので、
購入する際には是非参考にしていただければ幸いです👇
【基本情報】
タイトル:ICU頻用薬 使い方のリアル
著者:川上大裕
出版社:日本医事新報社
発行年月日:2022年10月26日
【ターゲット層】
ICU研修予定の初期研修医から後期研修医・ベテラン医師
【推定読了期間】
6-7時間程度
【本書の特徴】
●臨床の現場でしか学ぶことのできない“肌感覚”を言語化していること
●ICUで経験する症候やシチュエーションを網羅的に解説していること
【本書で学べること】
●「シチュエーション別」の「リアル」なICU頻用薬の使い方
●中堅以降の医師が読んでも面白いスペシャリストの経験則
●薬を使いこなすのに必要なエビデンスだけでなく、臨床家の経験やコツ
【評価】
必要性:
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読
●目次を参考にさらっと通読して、どこに何が書いてあるかざっくり把握(付箋を貼り、メモをするのも良いでしょう)
●その後は経験した症例の前後で参照して復習
【本書のまとめ】
本書はICU治療を学ぶ初期・後期研修医にとって必須の参考書の一つである!
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