集中治療領域の患者さん管理において重要な役割を担うECMO。
ICUでの業務の合間に後輩たちからよく聞くのは、
「ECMOの管理って研修医が触れることもなくてよくわかりません…」
「そもそもECMO回路の数値ってどう調節すればいいんですか…?」
といった質問です。
確かに自分自身いろんな集中治療の本を読んできましたが、
ECMOの概念については少し書いてあっても、実際の管理についてはあまり具体的な数値なども書いておらず、自分自身も質問の返答に困ってしまうこともしばしば。
初期研修医の子たちにについてもっとわかりやすく、そしてクリアに教えてあげられるようになりたいなあ…
そんな時にこの一冊に出会いました。
今回ECMO分野について具体的に学ぶ際に読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめするのがこちらです👇
これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、
その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている
ある救急科専攻医のレビューです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、
是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!
1.本書のターゲット層と読了時間
ターゲット層は、
研修医2年目から後期研修医・ICUで勤務する医療スタッフ(臨床工学士や看護師など)
推定読了期間は
8-10時間程度
です。
2.本書の特徴
本書の原著は、
Dr. Alain Vuylsteke , Dr. Daniel Brodie , Dr. Alain Combes ,Dr. Jo-anne Fowles ,Dr. Giles Peek
といった、ECMO管理のガイドラインの作成に携わるような世界的なECMOのエキスパートたちが、2020年現在のECMO管理のスタンダードをわかりやすく解説した一冊です。
それを、 市場 晋吾先生および清水 敬樹先生が翻訳してくださった、ECMOを学び理解する上で間違いのない一冊となっています。
本書の特徴としては
3.個人的総評
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
本書の総評において注目していただきたいのは、継続使用度の高さです。
正直他の参考書だと具体的な数値など、本当に管理する際に必要な情報が省略されていることも多いですが、本書にはとても具体的な管理の基準値や注意すべきことが書いてあるので読者側としては何度も実臨床で使うことがあります。
そして、通読する際にも豊富な図表を使ってくださっているのでスイスイ読み進められます。
あくまで個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は
本書は若手医療従事者がECMO管理を行う際に必須の一冊である!
と感じました。今後出会う初期研修医に本書を勧めたいと思います。
4.おすすめの使い方・読み進め方
●まずは本ブログや各種参考書でECMOの概念を軽く理解!
●本書を最初からじっくりと通読
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!
個人的におすすめの使い方をご紹介します!
まず、本書はECMOを全く知らない状態から通読を始めると少しつらいので、当ブログの簡単なECMOの記事や、他の集中治療領域の参考書をまず読むことをお勧めします。
本書を読んだ後に経験するECMO管理は理論を伴ったものとなり理解度が大きく異なるので、初期研修医など早い段階での通読をおすすめします。
そのあとは実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。
5.まとめ
【基本情報】
タイトル:ECMO実践ハンドブック〜世界標準の成人ECMO管理
著者:Alain Vuylsteke (著), Daniel Brodie (著), Alain Combes (著), Jo-anne Fowles (著), Giles Peek (著), 市場 晋吾 (翻訳), 清水 敬樹 (翻訳)
出版社:羊土社
発行年月日:2020/2/10
ターゲット層は、
研修医2年目から後期研修医・ICUで勤務する医療スタッフ(臨床工学士や看護師など)
【本書の種類】
辞書系・参照系
推定読了期間は
8-10時間程度
本の薄さ:
わかりやすさ:
面白さ:
継続使用度:
オススメ度:
※Amazon評価:
●まずは本ブログや各種参考書でECMOの概念を軽く理解!
●本書を最初からじっくりと通読
●その後は経験した症例の前後で読み直して復習!