「RRS呼びたいんですけど…呼んでいいのかな…」
そう迷っているうちに、患者さんの状態がどんどん悪くなっていく。
「もっと早く呼べばよかった」
そんな後悔、したくないですよね。
RRS(ラピッドレスポンスシステム)とは
RRSは、病棟で急変しそうな患者さんを早期に発見し、専門チームが介入するシステムです(1,2)。
「コードブルー」が心肺停止後に呼ぶものだとすれば、RRSは心肺停止を防ぐために呼ぶもの。つまり、「急変する前に呼ぶ」システムなんです。
📋 RRSの目的
- 予期せぬ院内心肺停止を減らす
- 予期せぬICU入室を減らす
- 急変の予兆を早期に捉え、介入する
- 病棟スタッフをサポートする
💡 ポイント
RRSは「急変してから呼ぶ」のではなく、「急変しそうだから呼ぶ」システム。呼ぶタイミングが早いほど、患者さんの予後が良くなります(1)。
なぜRRSが必要なのか
院内心肺停止の研究から、興味深いことが分かっています(1,2,3)。
⚠️ 院内心肺停止の実態
- 70〜80%に予兆があった:呼吸回数増加、頻脈、意識変容など
- 予兆は6〜8時間前から出現:見逃されていることが多い
- 心肺停止後の生存率は低い:院内でも20〜30%程度
- 予防できれば救命率は大幅に上がる
つまり、急変の多くは予防可能だということ。そのために、予兆を早期に発見し、介入するRRSが必要なんです(2)。
RRSを呼ぶ基準
「いつ呼べばいいの?」これが一番悩むところですよね。
多くの病院では、起動基準(calling criteria)が設定されています(1,3)。
✅ RRS起動基準の例
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 呼吸回数 | 8回/分未満 または 25回/分以上 |
| SpO₂ | 90%未満(酸素投与下でも) |
| 収縮期血圧 | 90mmHg未満 または 200mmHg以上 |
| 心拍数 | 40回/分未満 または 130回/分以上 |
| 意識 | 急激な意識レベルの低下 |
| 尿量 | 4時間以上で50mL未満 |
| その他 | 「何かおかしい」と感じたとき |
最後の「何かおかしいと感じたとき」、これがとても大切です(1,3)。
「何かおかしい」で呼んでいい
新人看護師さんや研修医1年目の皆さんへ。
「何かおかしい」という直感だけでも、RRSを呼んでいいんです(1,2)。
💡 「何かおかしい」の例
- バイタルは基準内だけど、顔色が悪い
- いつもより反応が鈍い
- 「なんとなく元気がない」
- 家族が「いつもと違う」と言っている
- 自分自身が不安を感じる
💡 大切なこと
RRSは「呼んで怒られるもの」ではありません。「呼んでくれてありがとう」と言われるべきもの。空振りでも構わないんです。呼ばなかったことで患者さんが急変するよりも、10回呼んで9回空振りでも1回救えるほうがずっといい(2)。
RRSを呼ぶことをためらわせるもの
なぜ、RRSを呼ぶことをためらってしまうのでしょうか(3,4)。
⚠️ RRS起動をためらう理由
- 「大げさだと思われたくない」
- 「空振りだったら怒られそう」
- 「主治医に先に連絡すべき?」
- 「基準を満たしているか自信がない」
- 「忙しそうで申し訳ない」
これらの気持ち、よく分かります。でも、患者さんの命と比べたら、どれも小さなことですよね(4)。
RRSを呼ぶときのポイント
実際にRRSを呼ぶときのポイントをお伝えします(1,3)。
✅ RRS起動時のチェックリスト
- 迷ったら呼ぶ:迷っている時間がもったいない
- SBARで報告:前回学んだ報告の型を使う
- バイタルを測っておく:チームが来たときに伝えられるように
- 患者さんのそばにいる:状態変化を見逃さない
- 主治医への連絡は並行で:RRSと同時でOK
RRSが来たらどうなるか
RRSを呼ぶと、専門チーム(医師・看護師など)が病棟に来てくれます(1,2)。
📋 RRSチームの役割
- 患者さんの評価:バイタル、身体所見の確認
- 原因の検索:必要な検査の提案
- 初期対応:酸素投与、輸液、薬剤投与など
- 治療方針の検討:ICU入室の判断など
- 病棟スタッフへのサポート:一緒に対応してくれる
RRSは「怖い人が来て怒られる」場ではなく、「一緒に患者さんを助けてくれる味方が来る」場です(2)。
「呼んでよかった」となるために
RRSを呼んで「空振り」だったとき、どう感じますか?
「恥ずかしい」「申し訳ない」と思うかもしれません。
でも、それは「呼んでよかった」なんです(3,4)。
📊 空振りの意味
- 患者さんが急変しなかった:これが一番大事
- あなたのアセスメント力が上がる:経験になる
- チームとの顔つなぎになる:次に呼びやすくなる
- 病棟の急変対応力が上がる:みんなの勉強になる
💡 先輩からのメッセージ
「呼んでくれてありがとう」「気づいてくれてよかった」。RRSチームからそう言われることのほうが多いはず。自信を持って呼んでください(4)。
急変を予防するために
ここまでのシリーズを振り返ってみましょう。
✅ 急変予防のステップ
- 呼吸回数を測る:急変の最初のサイン
- Shock Indexと5Pを確認:ショックの早期発見
- NEWS2で客観的に評価:「何かおかしい」を数字に
- SBARで報告:伝わる報告の型
- 迷ったらRRSを呼ぶ:早期介入で急変を防ぐ
この流れを身につければ、きっと患者さんの命を守れる医療者になれます。
まとめ
✅ ラピッドレスポンスシステムのポイント
- RRSは急変を防ぐために呼ぶ:心肺停止の前に介入
- 起動基準を知っておく:バイタルの異常値
- 「何かおかしい」で呼んでいい:直感も立派な判断材料
- 空振りでも構わない:呼ばなかったリスクのほうが大きい
- チームは味方:一緒に患者さんを助けてくれる
引用文献
- DeVita MA, et al. Findings of the first consensus conference on medical emergency teams. Crit Care Med. 2006;34(9):2463-2478.
- Jones DA, DeVita MA, Bellomo R. Rapid-response teams. N Engl J Med. 2011;365(2):139-146.
- Winters BD, et al. Rapid-response systems: a systematic review. Crit Care Med. 2007;35(5):1238-1243.
- 日本集中治療医学会・日本臨床救急医学会. 院内急変対応システム(RRS)の導入について. 2016.
🩺 急変対応、もっと深く学びたい方へ
Qラボでは、RRSの活用から急変対応まで、症例ベースで一緒に学んでいます。
「呼んでいいのかな」という不安を、「呼んでよかった」という自信に変えていきましょう。
どうですか?あなたの感想を聞かせてください。
5回にわたる「急変対応シリーズ」、いかがでしたか?
新人看護師さん、研修医1年目の皆さん。最初は「何かおかしい」と感じても、それをうまく伝えられなかったり、行動に移せなかったりすることがあると思います。
でも、このシリーズで学んだことを一つずつ実践していけば、きっと変わります。呼吸回数を測る。NEWS2を計算する。SBARで報告する。迷ったらRRSを呼ぶ。
あなたの「何かおかしい」という直感が、患者さんの命を救う日が来るはずです。一緒に頑張りましょう。





