学習

NEWS2スコアで急変を予測する【バイタルサインをスコアリングしてみよう】

「この患者さん、なんだか心配なんです…」

でも、先輩に報告しようにも、うまく言葉にできない。

「具体的に何がおかしいの?」と聞かれて、答えに詰まってしまう。

そんな経験、ありませんか?


「何かおかしい」を数字にする

新人看護師さんや研修医1年目の皆さんにとって、患者さんの状態を評価して報告するのは、最初は本当に難しいことだと思います(1)。

そんなとき、NEWS2スコアがあなたの強い味方になってくれます。

📋 NEWS2とは

National Early Warning Score 2(国立早期警戒スコア2)の略称。

イギリスの国民保健サービス(NHS)が開発した、患者さんの急変リスクを予測するためのスコアリングシステムです(1,2)。

💡 NEWSのいいところ

あなたの「何かおかしい」という直感を、客観的な数字に変えてくれること。「NEWS2が5点です」と報告すれば、誰もが同じ尺度で理解できます(1)。


NEWS2の計算方法

NEWS2は、7つのバイタルサインを点数化して合計します(1,2)。

✅ NEWS2の7項目

  1. 呼吸回数
  2. SpO₂(酸素飽和度)
  3. 酸素投与の有無
  4. 体温
  5. 収縮期血圧
  6. 心拍数
  7. 意識レベル(AVPU)

それぞれの項目が正常範囲からどれだけ外れているかで、0〜3点のスコアをつけます。

📊 NEWS2スコア表(簡略版)

項目 3点 2点 1点 0点 1点 2点 3点
呼吸回数 ≤8 9-11 12-20 21-24 ≥25
SpO₂ ≤91 92-93 94-95 ≥96
酸素投与 あり なし
体温 ≤35.0 35.1-36.0 36.1-38.0 38.1-39.0 ≥39.1
収縮期血圧 ≤90 91-100 101-110 111-219 ≥220
心拍数 ≤40 41-50 51-90 91-110 111-130 ≥131
意識 V,P,U A 新規の混乱

※意識のAVPU:A=Alert(清明), V=Voice(声に反応), P=Pain(痛みに反応), U=Unresponsive(反応なし)


スコアの解釈と対応

合計スコアによって、推奨される対応が決まっています(1,2,3)。

📋 NEWS2スコアと対応

スコア リスク 推奨対応
0〜4点 低リスク 通常の観察継続(4〜6時間ごと)
5〜6点 中リスク 1時間以内に医師に報告、観察強化
7点以上 高リスク 緊急対応、RRS/ICUチーム呼出
単項目で3点 要注意 1時間以内に医師評価

💡 臨床のコツ

単項目で3点がついた場合も要注意です。例えば、心拍数だけが140回/分(3点)でも、「合計は5点だから中リスクか」ではなく、単項目3点として対応を検討してください(1)。


NEWS2の使い方:実践編

実際の臨床でどう使うか、具体例で見てみましょう。

💡 症例:70歳男性、肺炎で入院中

昨日のバイタル

  • 呼吸回数 18回/分(0点)
  • SpO₂ 96%(room air)(0点)
  • 酸素投与 なし(0点)
  • 体温 37.5℃(0点)
  • 血圧 130/80(0点)
  • 心拍数 88回/分(0点)
  • 意識 清明(0点)

→ NEWS2 = 0点


今日のバイタル

  • 呼吸回数 26回/分(3点)
  • SpO₂ 93%(2点)
  • 酸素投与 2L投与中(2点)
  • 体温 38.5℃(1点)
  • 血圧 100/60(1点)
  • 心拍数 115回/分(2点)
  • 意識 少しボーっとしている(A→V?)

→ NEWS2 = 11点以上(高リスク!)

この場合、「何かおかしい」という感覚を、NEWS2が数字で裏付けてくれました。緊急対応が必要です(1,3)。


NEWS2の限界も知っておこう

NEWS2はとても便利なツールですが、万能ではありません(2,3)。

⚠️ NEWS2の限界

  • 慢性疾患がある患者:COPDの患者さんはもともとSpO₂が低いことも
  • 若い患者:代償能力が高く、スコアが上がりにくい
  • 急激な変化:「スコアは低いけど、急激に悪化している」場合は要注意
  • 臨床判断が最優先:スコアに頼りすぎない

💡 大切なこと

NEWS2は「判断を助けるツール」であって、「判断を代わりにしてくれるもの」ではありません。あなたの「何かおかしい」という感覚も、同じくらい大切にしてください(2)。


NEWS2を活用するために

NEWS2を活用するコツをお伝えします(1,3)。

✅ NEWS2を活かすポイント

  1. 毎回計算する習慣:バイタル測定のたびにスコアを出す
  2. 経時的な変化を見る:2点→5点への変化は重要なサイン
  3. 報告に使う:「NEWS2が7点に上がりました」と報告
  4. アプリや計算表を活用:暗記しなくても大丈夫
  5. 直感も大切に:スコア以外の違和感も報告する

まとめ

✅ NEWS2スコアのポイント

  1. 「何かおかしい」を数字にする:客観的な評価ツール
  2. 7項目を点数化:呼吸、SpO₂、酸素、体温、血圧、心拍、意識
  3. 5〜6点で中リスク、7点以上で高リスク
  4. 単項目3点も要注意:合計が低くても報告
  5. 経時的変化が大切:スコアの上昇は急変のサイン

引用文献

  1. Royal College of Physicians. National Early Warning Score (NEWS) 2: Standardising the assessment of acute-illness severity in the NHS. 2017.
  2. Smith GB, et al. The ability of the National Early Warning Score (NEWS) to discriminate patients at risk of early cardiac arrest, unanticipated intensive care unit admission, and death. Resuscitation. 2013;84(4):465-470.
  3. McGinley A, Pearse RM. A national early warning score for acutely ill patients. BMJ. 2012;345:e5310.

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どうですか?あなたの感想を聞かせてください。

NEWS2スコア、使いこなせそうですか?

最初は「計算が面倒…」と思うかもしれません。でも、慣れてくると自然に頭の中で計算できるようになります。そして、「報告したほうがいいかな」と迷ったとき、NEWS2があなたの背中を押してくれます。

明日から、ぜひバイタル測定のたびにNEWS2を計算してみてください。一緒に頑張りましょう。