「VFです!除細動しますか?」
心肺蘇生の現場で、この判断に迷ったことはありませんか?
研修医の頃、私も「この波形、本当にVF?」と迷って、1秒が永遠に感じられたことがあります。
恥ずかしかったのは、みんなが胸骨圧迫をしているときに、心電図を見てVFです!と入室してすぐ叫んだこと。あれは顔から火が出そうでした…。
除細動のタイミングは、患者さんの予後を大きく左右します。
この記事では、除細動の適応と、効果的なタイミングについて解説します(1)。
除細動の適応:VF/pVTを確実に認識する
除細動が適応となるのは、心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(pVT)の2つです(1,2)。
📋 除細動の適応
| リズム | 波形の特徴 | 除細動 |
|---|---|---|
| 心室細動(VF) | 不規則で無秩序な波形 | 適応 |
| 無脈性VT(pVT) | 幅広いQRS、規則的 | 適応 |
| 心静止(Asystole) | ほぼ平坦 | 適応外 |
| PEA | 波形あり、脈なし | 適応外 |
VFとpVTは「shockableリズム」、心静止とPEAは「non-shockableリズム」と呼ばれます(1)。
💡 臨床のコツ
細かいVF(fine VF)は心静止と見間違えやすいです。
モニターの感度を上げて、波形をよく確認しましょう(2)。
除細動は早ければ早いほど良い
VF/pVTに対する除細動は、時間との勝負です(2,3)。
⚠️ 除細動の時間と生存率
- VF発生から1分以内の除細動:生存率 約90%
- 1分遅れるごとに生存率は約7-10%低下(3)
- 10分以上経過すると、生存退院率は著しく低下
だからこそ、AEDの普及が重要なんです。病院内でも、VFを認識したら迷わず除細動することが大切です(3)。
CPRと除細動のバランス
では、CPR(胸骨圧迫)と除細動はどちらを優先すべきでしょうか(1,4)。
💡 CPRと除細動の優先順位
- 除細動器がすぐ使える場合:リズムチェック → VF/pVTなら即座に除細動
- 除細動器の準備中:質の高いCPRを継続
- 除細動後:リズムチェックせず、すぐにCPR再開(2分間)
重要なのは、胸骨圧迫の中断を最小限にすること。除細動のショック前後の中断時間は、合計10秒以内が目標です(4)。
💡 臨床のコツ
「充電中もCPR継続、ショック直前に離れる」が鉄則。CPR中断時間を最小化しましょう(4)。
除細動のエネルギー設定
除細動のエネルギー設定は、使用する機器によって異なります(1,5)。
✅ 除細動エネルギーの目安
- 二相性除細動器:メーカー推奨値(通常120-200J)
- 推奨値が不明な場合:最大エネルギーで開始
- 単相性除細動器:360J
- 小児:2J/kg → 4J/kg → 最大10J/kgまで
2回目以降のショックでは、同じエネルギーか、より高いエネルギーを使用します。
エネルギーを上げるかどうかは、機器の推奨に従いましょう(5)。
まとめ
✅ 除細動のポイント
- VF/pVTを確実に認識:shockableリズムを見逃さない
- 早期除細動が鍵:1分遅れるごとに生存率7-10%低下
- CPR中断を最小限に:ショック前後の中断は10秒以内
- ショック後はすぐCPR再開:リズムチェックは2分後
引用文献
- Panchal AR, Bartos JA, Cabañas JG, et al. Part 3: Adult Basic and Advanced Life Support: 2020 American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care. Circulation. 2020;142(16_suppl_2):S366-S468.
- Link MS, Berkow LC, Kudenchuk PJ, et al. Part 7: Adult Advanced Cardiovascular Life Support: 2015 American Heart Association Guidelines Update for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care. Circulation. 2015;132(18 Suppl 2):S444-S464.
- Valenzuela TD, Roe DJ, Nichol G, et al. Outcomes of rapid defibrillation by security officers after cardiac arrest in casinos. N Engl J Med. 2000;343(17):1206-1209.
- Cheskes S, Schmicker RH, Verbeek PR, et al. The impact of peri-shock pause on survival from out-of-hospital shockable cardiac arrest during the Resuscitation Outcomes Consortium PRIMED trial. Resuscitation. 2014;85(3):336-342.
- Soar J, Böttiger BW, Carli P, et al. European Resuscitation Council Guidelines 2021: Adult advanced life support. Resuscitation. 2021;161:115-151.





