『レジデントノート2023年10月号 外傷初期診療』【軽症に隠れた重症も見逃さない！】

が特徴の一冊です。

本書を読むことで学べる項目は特徴的なものをピックアップすると、このようになります👇

これらは研修医の先生方、整形外科の先生方にとっては今後どのような患者さん対応を行う際にも学んでおくべき大切な事項であると思います。

本書の特徴はなんと言っても、本書は外傷診療の型であるJATECをベースとしつつ、それらだけでは見逃してしまうような重症患者さんの診療にフォーカスしている点だと思います。

一見して軽症中等症に見えたり、大きな異常がなさそうに見える外傷の患者さん。

しかし、中にも、実は重篤な外傷や目の前でどんどん状態が悪化する外傷が隠れていることがあります。

外傷の初期診療の指針となるのがJATECですが、JATECの方法通りにプライマリーサーベイ、セカンダリーサーベイの実施をしたとしても見逃してしまうような軽症に見える重症患者さんというのは、やはり実臨床では存在します。

そのような軽症中等症に隠れた重症患者さんを救うために、わたしたちがJATECの基本の型に加えて、外傷初期診療のピットフォールについて学ぶ必要があるのです。

私自身、救急医としてのバックグラウンドを持っていたからこそ身逃さなくてすんだと感じる症例があります。

今一度、アンダートリアージされがちな症例を学ぶことで、それぞれの主訴で気をつけなければならないポイントを改めて理解することができました。

加えて、それぞれの症例に関して多様なバックグラウンドを持つ医療専門家が執筆されている記事も多いと感じました。

それぞれの診療科の専門家の視点のコメントや情報も入っていて、とても読み応えのある一冊であると感じました。

JATECという基本を改めて学習した後に、それらの基本の型だけでは見逃されがちな重症外傷のピットフォールを、専門家の視点を交えて学ぶことができる本書はまさに、外傷診療において重要な一冊となっています。

これらは本書の個人的な評価であり、しかも何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、自分は

と感じました。

４．おすすめの使い方・読み進め方

個人的におすすめの使い方をご紹介します。

著者個人の意見としては、

本書の外傷診療の特集は数時間で読了することができるので、空いている時間にさっと一通り通読してみることをお勧めします。

外傷診療に苦手意識がある方こそ、ぜひ一読して一度学んだ上で、さらに復習して欲しいと思います。

それぞれ頭部外傷や腹部外傷を経験した後に、それぞれの章を改めて復習として読んでみてもらえるとその知識が深まると思います。

また、本書を読めば外傷初診料の鉄則であるJATECについても一通り学ぶことができますが、やはりそれらの知識を体系的に自分の経験に落とし込むことが必要です。

本書を一通り読んだ後は、JATECのガイドラインを読み込むことやJATECのコースを受講することがおすすめです。

この一冊だけで外傷診療の勉強を完結するのではなく、もし可能であれば是非JATECのコースを受講してみることをお勧めします。

そのあとは実際の症例を通じてインプットとアウトプットをたくさん経験していきましょう。