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【疾患】糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)【随時更新中】


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今回は、国家試験ではよく勉強したが実際にHHSと鑑別するのが難しく、経過に合わせてどう治療していくのかイメージするのが難しいDKAについてまとめました。

 

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

 

 

1.ポイント

●血糖が異常に高かった場合(300以上)に必ず鑑別に
●治療介入の方針は、脱水補正、インスリン投与、電解質補正の3つ
●治療目標はケトン体をなくすこと(AGで評価)
 ※血糖の正常化ではない
●治療終了の目安を見て食事再開し、インスリン皮下注に

2.疫学・予後

●DKAの予後は基本的に良い(死亡率は1%程度)

●成人患者では脳浮腫の合併症は稀。小児は0.7-1.0%

3.症状

DKAの3徴

●高血糖

●代謝性アシドーシス(AG開大)

●高ケトン血症

高血糖:多尿、脱水、口喝

ケトアシドーシス:吐き気嘔吐、腹痛、RR↑

4.原因

【原因】
●3つのIに注目

Insulin, Infection, Infarction(stroke, ACS)

●薬剤も忘れずに

ステロイド、利尿薬、抗精神病薬など

【病態】
●循環血液量減少、脱水
●電解質異常(特にK↓)
●ケトアシドーシス

5.鑑別疾患

【DKAとHHSの鑑別】

●病態

DKAはインスリンの絶対的不足、HHSは脱水。

DKAでは無制限に脂肪分解が起こるため、

ケトン体が過剰に産生される。

●検査所見から
血糖が600以下であればDKAを示唆する。

HHSの方が高くなりやすい。

pHが7.3以下のアシドーシスであればDKA

6.検査・採血所見

【診断基準と重症度判定が大切】

【血液検査】
●高血糖
●AG開大性代謝性アシドーシス
●高ケトン血症(特にβヒドロキシ酪酸上昇)
●TG↑
●Na初期に↓(高血糖に伴う)、その後徐々に↑(脱水)
●K初期に↑(インスリン不足)、その後徐々に↓(体内の総量は低下)
●P初期に→(インスリン不足)、その後徐々に↓(体内の総量は低下)
●WBC、膵酵素↑

【尿検査】
尿検査でケトン体が陰性だからと言ってDKAは否定的と除外してはならない。

※ケトン体とは?覚えるべき事項と注意点は以下の記事をチェックしてみてください👇

 

7.具体的治療

【大まかな治療方針】
この3つを同時並行で進める
①輸液⇒脱水の補正
②インスリン⇒ケトン体の産生↓(血糖を下げるのではない)
③電解質補正⇒浸透圧利尿で失ったものを補う

↑投与量、薬剤・輸液選択は上記プロトコールに沿う
※ただし、日本には1/2生食がないので1号液で代用も可能
①輸液
・初期輸液は細胞外液
※外液のチョイスは慣習的に生理食塩水(リンゲル液を使うと血糖の低下まで時間を要するというRCTあり4))
・補正Na≧135mEq/Lになれば低張液へ
(100ml脱水ごとにNa1.6mEq/L変動)

・その後は低張液
②インスリン
・ケトン体がなくなるまで(AG正常になるまで)持続静注
・一時間あたり血糖が50-75mg/dL低下しなければ増量
・血糖正常になったらグルコースを足す
※超速攻型と速攻型で治療を要する時間に有意差なし。コスト面を考慮すると速攻型5)
③電解質補正
・細胞内移動に伴うK、Pを重点的に補正
・見た目のKが正常でも、絶対量はかなり欠乏(3-5mEq/kg)2)

●生理食塩水大量投与や、AGに含まれるケトン体の陰イオンの影響で将来的にAG正常代謝性アシドーシスにまる
※HCO3の投与は効果ははっきりせず(pH>6.9で考慮)6)

【治療終了の目安】
●AG正常化(12≦mEq/L)
●HCO3≧15mEq/L
●pH≧7.3
⇒食事再開し、インスリン皮下注に
(インスリンの皮下注を開始しても2時間程度は持続注射終了しないように)

8.論文・引用文献

1)Diabetes Care. 2009 Jul;32(7):1335-43. doi: 10.2337/dc09-9032.
Hyperglycemic crises in adult patients with diabetes.
Kitabchi AE他

2)Endocrinol Metab Clin North Am. 2006 Dec;35(4):725-51, viii.
Hyperglycemic crises in diabetes mellitus: diabetic ketoacidosis and hyperglycemic hyperosmolar state.
Kitabchi AE他

3)Diabetes Care. 2008 Apr;31(4):643-7. doi: 10.2337/dc07-1683. Epub 2008 Jan 9.
Can serum beta-hydroxybutyrate be used to diagnose diabetic ketoacidosis?
Sheikh-Ali M

4)QJM. 2012 Apr;105(4):337-43. doi: 10.1093/qjmed/hcr226. Epub 2011 Nov 22.
Fluid management in diabetic-acidosis–Ringer’s lactate versus normal saline: a randomized controlled trial.
Van Zyl DG

5)Diabetes Care. 2009 Jul;32(7):1164-9. doi: 10.2337/dc09-0169. Epub 2009 Apr 14.
Insulin analogs versus human insulin in the treatment of patients with diabetic ketoacidosis: a randomized controlled trial.
Umpierrez GE

6)Ann Intern Med. 1986 Dec;105(6):836-40.
Bicarbonate therapy in severe diabetic ketoacidosis.
Morris LR

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